朝食を２回作ってしまった畑田です

前回は、夫婦百景の１回目として、たまたま電車内で出逢ったある中年夫婦の出来事をお伝えしました
　賛否両論あると思いますが、あの絶妙な会話は、小気味のよい掛け合い漫才のようでした
　少なくとも、この二人はある意味、良い結婚生活を送っているなと感じさせられました

　今回もある夫婦のお話をさせていただきます
この夫婦の結婚生活はどうなのか、皆さんどう感じられるでしょうか？

　私たちは、２か月に１度歯科検診を受診しています
なんとなく始めたことですが、もう１５年以上になります
その間、ずっと同じ医院で受診してるので、医師やスタッフさんとも顔なじみです

　ある日の受診で待合室で待っていると、一組の夫婦が来院されました
　二人とも７０代くらいで、奥さんは車いすで旦那さんが押してこられました
　どうやら受診は奥さんの方で旦那さんは介助役のようです

初めての受診のようで健康保険証提出のあと、問診票に旦那さんが奥さんの症状を相談しながら記載されている様子でした

　待っている間、旦那さんがかいがいしく奥さんのお世話をしている様子から、日常的に介護されているな、というのが感じられました

　その間、奥さんはおとなしくされるがままで、静かに座っておられました
　ご様子からすると、軽いながら認知症もある
ようですが、それほど困った感じはありません
でした

　もの慣れた旦那さんのしぐさからかなり長い間、介護はされているな、と思えました
　お二人の上品な感じから、勝手にどこか大企業を定年退職して、二人で生活されている、と
イメージしてしまいました

　その後診察室から中年の女性が出てきて、
そのあと代わりに私が診療室に入りました
　今回は少し治療がありましたので、いつもより時間がかかりました

　私の診察が終わりの頃、待合室で女性の早口な大声が聞こえました
　それは少しの間だけで、私が待合室に戻った時には何事もなかったように静かになっていました

　待合室には先に診察を終えたパートナー一人だけがいましたので、「大声出してた？」と
聴きました

　パートナーはふるふると首を振り、さっきあった出来事について小声で話し始めました・・・

　大声を出していたのは、先ほどの車いすの
奥さんでした

　私と入れ替わりに待合に戻った中年女性ですが、話好きだったらしく、すかさず老夫婦に話しかけました

　いいですねえ、お仲がよろしいようで・・・
奥さんも旦那さんにこれだけ世話してもろうて、幸せなことですねえ！、と・・・

　その瞬間、それまで柔和だった奥さんの形相が一変し、鬼のようにわめきちらした、とのこと！

　なにがええもんか！わたしは結婚してからこの人になんもしてもろうたことない！
　いっつも仕事、仕事で家に寄り付かんし、
たまの休みもゴルフ、ゴルフ、好き勝手なこと
ばっかり・・・

　子供の世話もわたしがいっつもひとりで
やってた！
　まるで母子家庭やったわ！！

　仕事やめてからも自分の趣味で勝手に
出歩いて、家はほったらかし、わたしが
動けんようになってしゃーないから車いす
押してんねん！
　どこが幸せや、今更世話したってる、
って顔されても迷惑やわ！！

　と、風貌からは想像できないような口調で
ぶちまけたそうです・・・

　最初は穏やかになだめていた旦那さんも、
耐え切れず診察をキャンセルして、車いすを
押して退出されたとのこと

　あまりの剣幕とギャップに茫然としていた
中年の女性も発端が自分の言葉だけに、罰が
悪そうに精算して帰ったとのこと

　一人残されたパートナーは顔見知りの受付の
女性と苦笑い・・・
　受付の女性は「今までほんまの会話をされて
なかったんかもしれんね」としみじみ話して
いたとのこと・・・

　さて、婚活を考えてられる皆さんはこの話
どう受け止めますか？

　この話を読んで感じ方は様々あると思います
実際、私自身その場にいたわけではなく、
直後にパートナーから聴いた話です

　ただ、瞬間的に感じたのは、このご夫婦は
長い結婚生活の中で「会話」という時間を
持たなかったのだろうな、ということでした

　受付の女性は「ほんまの会話」という言葉を
使われてましたが、まさにその通りです
　さすがにどんなに多忙でも旦那さんは日常
での会話はしていたでしょう
　でも、奥さんが話をしているときによそを
みながら「ふんふん」と相づちをして聞くのは
会話でしょうか？

　私はこのブログでは「きく」という単語を
使うときに漢字の使い分けをしています
　すなわち、「聴く」、「聞く」、「訊く」
です
　それぞれに意味は違います
ちなみに「聞く」は聞き流す、「聴く」は
一生懸命五感を働かせる、「訊く」は
「問い詰める」という意味です

　会話は「聴く」ことで成立します
夫婦においてこれを実践しなければ、
このような蓄積された悲しみや苦しみが
どこかで爆発するのでしょう

　今回の出来事は、その典型ではないでしょうか
皆さんはどう感じられるでしょうか？

　先日、少し寝坊してしまいました
すでにパートナーは起きていましたが、
朝ごはんがまだだろうと思い、気を利かして
二人分の朝食を作りました

できたよ、と声をかけると今日は早起き
したので、もう作って食べて食器も洗った
とのこと・・・

　おかげで朝・昼同じものを食べることに
なりました
　「会話」がいかに大事か改めて認識した
朝でした・・・

今回はここまで

それでは皆さん、最後まであきらめずに

幸せな結末をつかんでいきましょう！